100均、それは日本人にとってのオアシスであり、フィリピーナにとってのテーマパークである。コスパ最強の商品がズラリと並び、日本人もフィリピーナも財布のヒモをゆるめる魔法のショップだ。当然、フィリピーナ達も100均の達人であり、「これは買い!」「これは地雷!」と見極めるスキルを持ち合わせている。むしろ、日本人より100均に精通している説まである。
そんな100均文化は海を越え、フィリピン本国にも上陸! そして、やっぱり大人気。しかし、日本では100円のものが、フィリピンでは88ペソ(約200円)や66ペソ(約150円)で売られているというミステリー。輸入コストを考えれば当然なのだが、日本人旅行者が価格を見て「え、倍じゃん…」とショックを受けるのはもはや風物詩である。
フィリピンの100均代表といえばダイソー。ほぼモール内に展開し、現地のフィリピン人に大いに愛されている。さらに、日本城(Japan Home Centre)という88ペソストアもあり、100均アイテムがずらりと並ぶ。しかし、ここで特筆すべきは、日本の商品だけでなく、アメリカの100均バージョンの商品まで同じ店内で販売されていること。日米100均の夢の共演…!と思いきや、実際はフィリピン人が「どっちも安いならOK!」と深く考えずに買い物をしているだけである。
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そんな日本ブランドの人気に目をつけたのが、お隣・中国。その筆頭がMINISO(メイソー)である。一見、日本のオシャレ雑貨店のような顔をしているが、実は経営陣はオール中国人。本社もガッツリ中国にある。それでも「JAPAN」を前面に押し出し、フィリピンに進出。フィリピン人の多くは「MINISOは日本企業でしょ?」と疑わずに買い物をしている。
実は、かつて「ダイソーと名前が似すぎ!」と裁判になり、MINISOが敗訴したことがある。しかし、そこはしたたかなチャイナスピリット。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の精神で、全く名前を変える気配がない。裁判の当時、フィリピン人も「MINISOって日本製じゃないの!?」と驚いたが、時が経てばすべて水に流れる。今や再び「日本ブランド」として愛されているというから、MINISOのマーケティング力には脱帽である。
さて、100均への愛はフィリピン本国だけにとどまらない。日本にいるフィリピーナ達も100均をフル活用。食器から小物まで、100均でそろえるのはもはや常識。たとえ「ちょっとチープかな?」と思う商品でも、フィリピンクオリティーと比べれば雲泥の差。そう、彼女たちにとって100均の商品はもはや宝物なのだ。
このように、100均はフィリピン人の心をつかんで離さない。日本の100均がフィリピンでもっと広がる日も近いかもしれない。しかし、その日が来たら、日本人旅行者は「え、また値上がりしてる!?」とショックを受けることになるのだろう…。


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